《MUMEI》
お宅訪問
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程なくして、蒲生くんの家に着いた。


「今日は、手伝ってくれてありがとう」


素直にお礼を言い、彼が持っている傘を受け取ろうと手を差し出した。

しかし、彼は傘を手渡そうとしなかった。

彼はわたしの目をじっと見つめ、

こう言ったのだ。





「身体、冷えちゃったでしょ?ウチ上がって。あったまっていきなよ」





降りしきる雨の中、


わたしはただ、呆然と瞬いた。





…………家に、上がる?





「……いいの?」


恐る恐る尋ねると、蒲生くんは「もちろん」と言い、爽やかに笑ってみせた。

そして、わたしの手を取り、玄関まで引っ張って行った。





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