《MUMEI》 . ご両親は留守のようで、家の中はひっそりと静まり返っていた。 わたしは蒲生くんに促され、彼の部屋に入る。 彼はやっぱり自然体で、タンスからTシャツを取り出すと、笑顔でわたしに振り向いた。 「シャツ着替えて、コーヒーいれてくるから、ここでゆっくりしてて」 言い切ると、彼はさっさと部屋から出て行ってしまった。 手持ち無沙汰のわたしは、部屋の中央にあるローテーブルのまえに、ちょこんと座る。 それでも、なんとなく落ち着かなくて、部屋の中をぐるりと見渡した。 男の子の部屋に入るのは、これが初めてだ。 もっと、乱雑な様子を想像していたのだけれど、予想に反して、蒲生くんの部屋はとてもキレイに整頓されていた。 …………意外に、掃除好き?? ヘタしたら、わたしの部屋よりキレイかも……。 . 前へ |次へ |
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