《MUMEI》 『あの日』の真相. 悶々と考え込んでいると、 突然、蒲生くんが口を開いた。 「学校じゃ話しづらいし、この際、はっきりしとこうと思うんだけど……」 わたしはゆっくり顔をあげた。蒲生くんは、わたしの顔を見つめている。 彼は、そのままの姿勢で、「あのホテルの夜のこと」と、つづけた。 その話題に、わたしは少し、気が滅入る。 あの日のことは、今でも少し、辛かった。 わたしは、フイッと彼から目を逸らし、手元にあるコーヒーを見つめて、声を荒げて言った。 「もういいよ、わかってる。なにもなかったんでしょう!?」 もう嫌だ、この話……、と呻いて、両手で顔を覆う。 その間、蒲生くんの視線をずっと感じていた。 . 前へ |次へ |
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