《MUMEI》

「──なたっ」

「‥ぇ」

「もういいってば」

「ぁ──終わったのか?」

「うん」





那加が頷いたから、俺は椅子から立ち上がった。





「なぁ──」

「何?」

「見てもいいか?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「那加‥?」

「‥あんまり上手く描けなかったから」





見せたくないらしい。





「‥ちょっとだけならいいけど」

「───────」

「‥はい」





手渡されたスケッチブックを、開いてみる。





「ぇ‥‥‥」





上手い‥。





那加‥こんなに絵──上手かったっけ‥。

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