《MUMEI》

「‥っ?」





取り上げられてしまった。





「ちょっとだけって言ったでしょ‥?」

「ぁ‥、ぁぁ‥悪い‥」





こんなに上手いんだから──隠す事ないのにな。





「なぁ‥何で急に俺の事‥」

「飾っとくの」

「飾る‥?」

「うん」





那加は、やっぱり寂しいんじゃないか‥って俺は思う。





この絵を描いたのは、俺がいない時、寂しくならないようにって──たぶんそういう事なんだ。





「那加──」

「──さぁってと!」

「‥?」





那加──またあの本を開いた。

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