《MUMEI》
再会
ひらひら………

風が吹く度に桜の花が、一枚、また一枚と舞って行く。

「桜、好きなんだな、相変わらず。」

それをただひたすらに眺めていると、後ろから突然声をかけられた。

「え……」

当然びっくりして後ろを振り向く。

「久しぶり、剣(つるぎ)。元気だったか?」

そこには、にっこり笑う優しくて、懐かしい笑顔があった。

「……!!!!み…帝(みかど)っ!?お……お前……いつ戻って来たんだよ!?戻って来んなら連絡ぐらいしろよ!!」

それは、幼馴染みの如月(きさらぎ)帝。
俺たちが、中学に上がる前に、帝はアメリカに行ってしまっていた。

それが、今日突然俺の前に現れた。

「昨日の夜帰ってきた。驚かしてやろう、って思って。びっくりしたか?」

帝は昔と変わらない、悪戯っぽい笑顔を俺に向けた。

「……っ!!くっそ……まんまと引っ掛かった。」

俺が悔しそうに眉根を寄せていると、帝は満足そうに頷いて、クスクス笑っている。

「……まぁ、一応言っといてやるよ。『おかえり』って。」

本気で悔しかったので、少し恩着せがましく言ってやった。

「ただいま。」

そんな事はお構い無しに、帝は普通にアリガトウ。なんて返してきやがった。

それも、俺の意図を分かった上で、

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫