《MUMEI》

「──色々ありがと。行って来るね」

「ほんとにあたし行かなくて大丈夫?」

「うん。──ぁ‥この事こーちゃんには‥内緒にして?」

「分かってるって♪ 頑張ってねっ」





そう言ってくれた有里に頷いて、私はバス停に向かった。





「‥‥‥‥‥‥‥」





──頑張ろう。





こーちゃんの為に。





「よいしょ‥」





バスに乗って、駅に向かう。





こーちゃんには、この事は言っていない。





私は、有里の家で宿題をしている事になっている。





だから──夕方位には戻らないといけない。





それまでに、これを配り終えなくちゃ‥。

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