《MUMEI》

「ぇ‥‥‥」





前を見たら、私より少し上位の女の子が──散らばった内の1枚を拾って見入っていた。





「スッゴーいめちゃめちゃ綺麗──。自分で撮ったの?」

「いえっ、こーちゃ‥コウが──」

「ぇ、『コウ』ってあの‥?」

「知ってるん‥ですか‥?」





思わず、ポストカードを拾っていた手を止めて訊いたら。





「最近噂で聞いたんだけどね? って事は──妹?」

「──ぁ‥一応‥」





ハッキリと‥はい、とは言えなかった。





「──ぁ‥あのっ、それ、良かったら──」

「いいのっ? ラッキー♪ てかさ、独りで大変じゃないっ? こんなあっついのに何で──」

「コウの事を──もっと認めてもらいたいんです。昔は色々あったけど‥でも今は違うんです。だから、認めてもらいたい‥‥‥。みんなに‥こーちゃんは優しい人なんだって‥」

「──じゃあ、手伝ったげる」

「ぇ」

「ほらっ、半分貸して?」

「あの‥こーちゃんの事‥」

「こんな綺麗な写真撮る人、悪い人な訳ないじゃん?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫