《MUMEI》 「ぇ‥‥‥」 前を見たら、私より少し上位の女の子が──散らばった内の1枚を拾って見入っていた。 「スッゴーいめちゃめちゃ綺麗──。自分で撮ったの?」 「いえっ、こーちゃ‥コウが──」 「ぇ、『コウ』ってあの‥?」 「知ってるん‥ですか‥?」 思わず、ポストカードを拾っていた手を止めて訊いたら。 「最近噂で聞いたんだけどね? って事は──妹?」 「──ぁ‥一応‥」 ハッキリと‥はい、とは言えなかった。 「──ぁ‥あのっ、それ、良かったら──」 「いいのっ? ラッキー♪ てかさ、独りで大変じゃないっ? こんなあっついのに何で──」 「コウの事を──もっと認めてもらいたいんです。昔は色々あったけど‥でも今は違うんです。だから、認めてもらいたい‥‥‥。みんなに‥こーちゃんは優しい人なんだって‥」 「──じゃあ、手伝ったげる」 「ぇ」 「ほらっ、半分貸して?」 「あの‥こーちゃんの事‥」 「こんな綺麗な写真撮る人、悪い人な訳ないじゃん?」 前へ |次へ |
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