《MUMEI》 落とし前. 蒲生くんは、ベッドから降りて、わたしのすぐ傍まで近寄る。 キレイな顔が、目の前にあった。 彼は、囁くように、低い声で、言う。 「『付き合ってる』っていう噂、ホントにしちゃわない?」 さらに、わたしの目を覗き込んで、「嫌?」と尋ねた。 わたしの頬が赤く染まる。 頭の中がぼーっとして、思考がついていかなかった。 「嫌じゃ、ないよ…」 やっとのことで返事をし、それからものすごく恥ずかしくなって、わたしは両手で顔を覆う。 「もー、そんなこと、サラっと言わないでよ!!蒲生くん、慣れすぎ!!」 わたしが叫ぶように言うと、彼は笑い、それからわたしの耳元に顔を寄せ、「……でも」と呟いた。 「自分から言うのは、初めてかな」 . 前へ |次へ |
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