《MUMEI》

「また遅刻かぁ? 鹿瀬‥」


「すいません‥」


──そうなんです‥。


私、どうしようもない遅刻魔なんです。


ほとんど毎日遅刻してるんです。


「そろそろ危ないぞ? 気ぃ付けないと──」


「ハイ‥」


私が通ってるのは、単位制の高校で──出席がかなり大事なんです。


分かってるんだけど‥苦手なんですよね、朝‥。


「おーい、いつまで突っ立ってるんだ? ほら、席座れよ」


「ぁ‥ハイ‥!!」


慌てて、席に着く。


「はぁ‥」


「咲っ、おはよっ」


小声で、紗緒が挨拶してきた。


「うん、おはよう──」


あたしも、小声で返す。


「眠れなかったの?」


「ううん‥そうじゃないけど‥」


「おーい、聞こえてるぞー? そこ──」


「すいませんっ‥!!」

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