《MUMEI》

──特に固まったりする事もなく、那加は戸田先生と話していた。





俺は、那加の隣りでずっとそれを聞いていた。





聞きながら、もしかしたらここに俺がいなくても大丈夫なんじゃないか、って──そんな気がしてきた。





──嬉しい事だけど、ちょっと寂しい気もする。





ずっと、俺にくっついて離れなかった那加が──だんだん、距離を取るようになってきているような感じがして。





那加にとって、それは大事な事だ。





でもやっぱり、俺から離れて欲しくない。

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