《MUMEI》

「こーちゃん‥」

「んー? どーしたー?」

「‥怒ってる‥?」

「──ふはっ」





急に、こーちゃんが笑い出した。





「何で怒んだ?」

「‥せっかく‥こーちゃんが‥」

「気にすんなって♪ ──おっ、あれ飛行機雲じゃねっ?」





こーちゃんは、気にしていないのか‥ずっと写真を撮り続けている。





私の心には‥モヤモヤした感じが霧みたいにかかっていた。





『詩──書いてくれっか』





こーちゃんは‥私に頼んでくれた。





詩を書いてくれって。





『頼むっ』





そう言ってくれた‥。





なのに‥。





『無理だよ‥‥‥詩なんか‥』





私は‥恐がって逃げている。





‥駄目だ。





──逃げちゃ駄目だ。





「こーちゃん」

「ん‥」

「‥書く」

「──ぇ」

「私、詩書くからっ──」

「みかん‥」

「上手く書けるか分からないけど‥でも──、‥?」

「お前の気持ち、それ書いてくれりゃいーからさ」

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