《MUMEI》

「えっと‥」


ここだっ‥。


ドキドキしながら、戸を開ける。


「あれ‥」


補講って私だけ‥?


「おいおい‥補講の日まで遅刻って‥」


「ぅあっ‥すいません‥!」


何やってるんだろ、私‥。


「ま、とにかく座れよ」


「ぇ‥」


「教科書とかちゃんとあるか?」


「ぁ‥はいっ、あります‥」


カバンから、生物の教科書とノートを取り出す。


「よしっ、じゃあ──」


「あのっ‥」


「ん?」


「すいません、わざわざ‥」


「なーに言ってるんだよ、俺教師だぜ? お前みたいな生徒、ほっとける訳ねぇだろ?」


「‥!」


「どうした?」


「いえっ‥すいません‥」


──補講が、始まった。

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