《MUMEI》

『日向っ、見てあれ♪』





──小4の夏休みだった。





2人で、隣り町の水族館に行ったんだ。





2人っきりで。





「わぁ、綺麗──」





那加は、熱帯魚の群れに釘付けになっていたっけ。





なかなかそこから動こうとしなかった。





目をキラキラさせて、宝石でも見ているような感じだった。





『──あっ♪』





那加が次に飛び付いたのは、クラゲの水槽だった。





『これも綺麗♪ ねっ、日向?』





──その目は、やっぱりキラキラしていた。

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