《MUMEI》 「──思い出してたんだ」 「何を?」 「水族館行った時の事」 「ふぅん──」 それとなく呟いて、那加はベッドに腰掛けた。 「それでボーッとしてたんだ」 「悪い‥」 「別に怒ってないから。ちょっと退屈だっただけ」 つまり、ちょっとはご機嫌斜めな訳だ‥。 「またアザラシとか見に行けるかな」 「ぁぁ」 「他にも──イルカとか、ペンギンとか──」 「当たり前だろ?」 「‥‥‥そんなにキラキラしないでよ」 その台詞に、俺はポカンとした。 「キラキラ‥?」 前へ |次へ |
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