《MUMEI》
・・・・
 「・・・・エリザ」
 「兄さま、これはもうわたくしの意思なの。わたくしは彼女たちを受け入れました。
 彼女たちの想いはわたくしの想い、そしてわたくしの想いもまた、彼女たちの想い」
 嬉しさのあまり、エリザは身体がうち震えるのを感じた。愛し、尊敬しつづけてきた兄の前で自身の明確な意思を示し、対等な目線にある。彼女が夢見てきたことだった。
 「それにこの子たちも、わたくしの手伝いをしてくださいます。心強い味方、名前をヴォジャノーイと申します」
 エドの剣で身を裂かれ、倒れていた妖魔たちがゆっくりと立ち上がった。傷は塞がり、完全に回復している。
 知恵も、能力もそう高くはないのだが、不死の力を持つ彼らはエリザの貴重な兵力であり、従順な僕であった。皆、エリザの言うことを忠実に守り、次の命令を待っている様子だ。
 「わたくしはここにいる憎き仇である大貴族を目当てに来ました。兄さまと争うつもりはこれっぽっちもなかったの。
 だから、わたくしはそろそろおいとまさせていただきますね」

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