《MUMEI》

かけられたあの言葉が、また私の中で木霊してる。


先生の笑った顔が、浮かんでくる。


「ねっ、どうだった?」


「ぇ」


「補講♪」


「うん‥‥‥」


「何っ、何かあったの?」


「ううんっ‥」


何も‥。


「おっ、いたいた──。鹿瀬ー!」


「っ!?」


ぇ、先生‥。


「──ほいっ、これ」


「‥?」


「教職の本。結構役に立つと思うぜ?」


「──ぁ‥あの‥」


「じゃあなっ」


1冊の本を私に手渡して、先生は向こうに歩いて行った。


「──何か気に入られてるっぽいね〜咲ってば♪」


「え‥!?」


「だってそうじゃん? 何だかんだ言ってひょっとしたら──」


「ちっ‥違うよ‥!」


「でも咲って先生の事好きでしょ?」


「ぇ、す‥」


好き‥?

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