《MUMEI》

──そうなのかな。


私、先生の事‥好きなのかな。


だからあの時ときめいたのかな。


「──咲? ゴメン──何かあたし変な事言った?」


「ううん、ありがと」


私、たぶん好きなんだ。


先生の事──。


だから憧れてるのかも知れない。


先生みたいになりたいって、そう思うのは──ただ憧れてるってだけじゃなくて、好きだからなのかも知れない。


そう思ったら、何だかまたあの気持ちがした。


「咲は次の授業何?」


「えっと‥美術」


「4限確か生物だったよね?」


「うん」


答えて、私は先生の本を抱き締めた。

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