《MUMEI》
要(かなめ)
現れた男は要と名乗った。


「今回は、吾妻のクイーンの提案にのるべきだと思いますよ。

総長も、こんな状態ですし」

「…吾妻の姫が、こんなに強いなんて聞いてないんだけど」

「申し訳ありません。吾妻の姫の情報は、吾妻のクイーン以上に少なかったので」


(忍みたいだな)


丁寧な口調に、優雅な物腰


お嬢様風の真白さんとやりとりする、要…さんは、執事のようだった。


「仕方ないわね」


真白さんは、ため息をついた。


「では、こちらにお願いします」

「了解」


要さんが、志貴にメモを渡した。


「何それ」

「ヤンキー君の住所と携帯番号」


(何で?)


「じゃあ、総長起こして帰ります」

「そうね」

「ちょ、」


俺だけわけがわからず焦っていると


ジャーッ!


真白さんはホースを握り、ものすごい勢いで、恭に水をかけ始めた。


「うぇ!?」

「帰るわよ、恭」

「あ、うん」


(何で普通なんだ!?)


全身びしょ濡れな恭は、何も気にせず真白さんの後に続き


要さんも、頭を下げて帰っていった。

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