《MUMEI》
交渉の内容
嵐のような三人が去った後、俺は改めて志貴に交渉の内容の説明を求めた。


志貴が出した条件は


『同じような衣装を頼むから、この衣装は諦めて』


というものだった。


真白さんはそれに対し


『できるまで時間かかるから嫌』


と、ずっと反発していたらしい。


しかし、俺が恭の攻撃をかわし続けるうちに、徐々に気持ちが揺らぎ


恭が倒され


渋々、志貴の条件をのんだようだ。


「それにしても、随分遠い所から来たみたいね」

「本当だ」


志貴が要さんから渡されたメモに書かれた住所は、県外だった。


「あ、早速メール」


志貴が携帯をいじっている最中に、恭からメールが来たようだ。


「…」

「どうした?」


志貴は無言で俺に携帯を見せた。


そこには


『どうせなら金髪狼衣装でよろしく できるだけ早めにお願いします

真白』


と、あった。


志貴は悩んだ挙句


演劇部の衣装班ではなく


『シューズクラブ』がある商店街の手芸専門店


『マリオネット』の店長に、衣装制作を依頼していた。

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