《MUMEI》

今までは、そんなに気にならなかったんだけど‥。





夏が過ぎていくのが、名残惜しいなんて──そんなには思わなかったんだけど。





今年の夏は、何だか──特別な気がして。





過ぎてしまうのが‥勿体ない気がして。





もっと──続いて欲しい。





「似合わねーぞー?」

「‥? ──ぁ‥」





落ち込んでも仕方ない。





──楽しまなきゃ。





精一杯──楽しまなきゃ。





「こーちゃんっ」

「?」

「競争しよっ」

「競争?」

「うんっ」





頷いて、私は走り出した。

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