《MUMEI》
赤いリボンの約束
半分に切ったせいで、赤いリボンは手首に巻ける長さではなくなってしまった。


「どうすんだ? それ」

「こうするの」


志貴はリボンを


俺の、左手の小指に巻き付け、結んだ。


(何だか、似てるな)


俺は、右手と左手をまじまじと見つめた。


俺の右手の小指には、忍が誕生日にプレゼントした赤い指輪があった。


「私にも、結んで」

「あ、あぁ」


言われた通り、俺は志貴の左手の小指にリボンを結んだ。


「これで、どうするんだ?」

「指切りするの」


志貴は、自分の小指を俺の小指に絡めてきた。


(顔、近いな)


至近距離でも志貴はやっぱり綺麗だった。


「指切りわかる? 祐也」

「一応。で。何を約束するんだ?」

「無事に卒業できますように」


(それなら、余裕だろ)


「楽しい夏休みを過ごせますように」


(多分、大丈夫だろ)


「祐也の、一番の友達で、ずっと仲良くできますように」


(そんなの…)


「志貴が俺に飽きませんように」

「は?」

「…俺も、ずっと友達でいたいよ」


そして、俺達は、笑顔で指を離した。

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