《MUMEI》

──刻々と、時間が迫ってくる。





「うっわやべぇ‥」

「‥ごめんなさい、ますます緊張させちゃったかしら‥」

「ぃぇ‥大丈夫っす」





開場まで、後3分。





何とか‥こーちゃんを落ち着かせてあげたい。





「───────」





‥私が不安な時‥こーちゃんは何をしてくれただろう‥。





『──みかんっ♪』





‥そうだ‥。





「──こーちゃんっ♪」

「‥ん‥」





こーちゃんが、こっちを向く。





指で作ったフレームに、君が映る。





──笑顔の君が。





また1つ、私の心に焼き付いた。





「──晃君、蜜花ちゃん、そろそろみたいよ」





香坂さんが、手招きしている。





「っし‥行くかっ──」

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