《MUMEI》

「まっ、別にいいけど」





俺から離れて、病室をグルグル回り出した那加。





「ぁ、そうだジュース‥」





渡すのをすっかり忘れていた。





「那加──」

「?」

「どうぞ‥」

「──ぁ──‥ありがと」

「あの‥‥‥ごめんな‥? さっき‥」

「さっきって?」

「ほら、嘘ついて‥」

「──後で聞かせてよね」

「ぇ」

「さっき日向が思い出してた事」

「水族館の‥?」

「うん」

「──ぁぁ、分かった」





お安いご用だ。





「──ほら、やっぱり」

「?」





やっぱり何だ‥?

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