《MUMEI》
休日
文化祭の次の日は、休みだった。


思っていた以上に疲れていた俺は、一日中部屋でのんびり過ごした。


誰か来るかと警戒していたが


幸い、誰も来なかった。


唯一、別の高校の柊からは、『文化祭お疲れさま』とメールが来た。


メールにしたのは、俺の疲労を察してなのか


それとも


忍から聞いた俺の過去をまだ気にしているのか


俺にはわからなかった。


(まぁ、嫌われてはいないみたいだから

…今は、それでいいか)


俺にわかるのは、高山柊はキングと呼ばれるほど優秀だが





基本、ヘタレだという事だった。


(夏休み、本当に楽しめるといいな)


志貴に結んでもらった左手の小指の赤いリボンを見つめながら、思った。


(その前に、拓磨にいろいろ言われそうだけどな)


昨日はあの後二人で帰ってしまったから、誰とも会わなかった。


(それに、厳がどっちにリボン渡したのか気になるし…)


気付けば、いつも真っ先に考えているのは高山一族の事で


次に、考えているのが親しい同級生の事になっていた。


気付けば、過去よりも今を考えている自分がいた。

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