《MUMEI》




結局まともに夜景見たのは最初だけ。





金欠の原因になった気張った服もほとんど着れてなかった。




俺を胸に抱きながら誠は幸せそうに眠っている。



やっぱり気になって、そっと誠の腹を触るとそこはすっかり凹みきっていた。


「なんだかなーもうばかだなあ…」



飢え死にしてもしらねーぞもう。






目覚めると辺りはすっかり明るくて、隣で一緒に寝ていた筈の誠は、ソファに座りながらボクサーパンツ一枚で煙草を吸っていた。




「おはよーう真依」
「ンッ…、ん…」


短いキスの後、俺は誠から煙草を奪って一口吸い込んだ。

「は〜、めっちゃうまい…………、あ………」



俺の薬指にはまるシルバーのリング…。


「これ…」


「外して中見てみな」


誠はカッコイイ笑顔でそう言うと、バスルームに消えていった。




外して中を見ると、俺と誠のイニシャルが入っていて、ついでにILOVEYOUなんてのも入っていて!


ああ…


ああ…



あーもう幸せ!



誠大好き!大好きだよ!




誠カッコイイ…

大好きッ!


あーもう俺なんかでよけりゃいくらでも抱いていいよ。


俺はリングのはまる手を胸元でギュッと抱きしめて、そして唇につけて、


幸せいっぱいの気持ちでバスルームに向かった。





シャワーの音がするバスルームの扉を俺は元気に開ける!


だってもう抱きつきたくてたまんないんだもん!


「まこ……」



ザー……ザー…



「まことおッッッ!!!」



まるでカエルが車にひかれたような格好で…


誠は倒れていた。


ザー…ザー…


「なんで力抜けたんだろ〜…」




ザー…ザー



「そりゃ抜けるだろ…飯も食わねーで、あんだけ動いて出してたら…」





ザー…ザー…



「まいっち」


「ん?」



ザー…ザー…



「…肉食いたい…」


ザー…ザー…



「…はあ…」

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