《MUMEI》

ベッドの上でやるのは無理だ。





床でやれば、下の病室に響いてしまう。





「那加‥それはまずいって」

「? 何でよ」

「やるなら──外の方がいいかも知れない‥」

「何言ってるの?」





キョトンとされた。





「ただ返そうと思っただけ」





──らしい。





これは元々俺のだったんだけど──俺はあまり使えないから那加にあげたんだ。





那加は、家で使ったりしていた物を色々置いている。





その中の1つが、これだ。





けど‥何で今頃になって──返すなんて言ってきたんだろう。

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