《MUMEI》

俺はふらつく誠の体を簡単に洗い、速攻ホテルをチエックアウトした。




そして駅前の吉牛で二人特盛をオーダー。



そしたら誠は食べ始まったら凄かった。

何が凄いって、三分かかんないで完食した。






「足りた?なんかスゲー勢いだったけど」

「あーまだちょっと腹6分目かも」


誠はう〜んと背伸びして、真冬の日差しを気持ち良さそうに浴びる。

とりあえず、
食べて復活朝倉誠。


今日までバイト休んだっつたし、もしかして誠…

「は〜!なんとか充電できたしこれから真依っちの部屋でまたするぞ〜っ!」


「……」









は〜…、やっぱり。






「あーこの伊勢海老スゲーな」


俺は誠に、昨日佐伯から送信されていた画像を見せた。

「…ごめんな真依、俺達も本当はこんなん食ってたのに」


誠は俺の肩を抱きながら申し訳なさそうに言った。


そう、抱きながら…。

つか、ここは電車の中…、人がたくさん居る電車の中!


俺達は混みながらも並んで椅子に座ってる訳で…


誠は至極当たり前の様子で俺の頭を撫でたり抱き寄せたり手をニギニギしていたり…



とにかくバカップル丸出しっつーの?

つか、つか、男同士で、俺は平凡な顔の男で!


その平凡君に愛しげに触りまくる誠がめちゃめちゃいい男で!



「なー真依、キスしたくなっちゃった〜」

「〜〜〜!!!」

耳元にそう囁かれて耳たぶを噛まれた。

「駄目だよこんなとこで〜」

「どうせしらねー奴しかいねーんだから大丈夫だって、ね?一瞬だけでいーからさ、ね?」

そっと誠を見ると、おまえは俺のモンだみたいな光線飛ばしまくってて、

なんか、今日はクリスマスだし、どうせ知ってる奴いねーし、世の中色んな奴がいるって事で、



まっ、いーか!





「うん、一瞬な」





騒がしい車内




吊り革に掴まるたくさんの人



流れる景色も、人で全て塞がれていて




でも


どちらにせよ



俺には




誠の声しか



誠の顔しか見えない





「…………」


「マジかよおまえら」


「!!!!」




聞いた事のある声…


恐る恐る顔を上げたら




いた、知ってる奴…



「あれ?聖、長沢は?」


誠はそれでもまだ俺の肩を抱きながら




なんでもなさ気にそう言った。

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