《MUMEI》

………どうやったら名前……?

「どうやったら……?」

何を知りたいんだ?

「あ、間違った……。どういう名前なの?って聞きたかったの。」

いや、それでも微妙に間違っているように思わないでもないが、まぁ、だいたい言いたい事は分かった。

「伊山志遠。」

言いながら、偶然机の上にあった小さな紙に、名前を書いてやった。

「うわぁ。良い名前だね。」

そう言ってまた、あの屈託ない無邪気な笑顔を俺にむけた。


ガラララッ

引き戸が乱暴に開けられる音がして、俺も、一宮も音がした方を向いた。

「ひーよーりー……っ!!!!」

そこには見た事のない、これまた綺麗な顔の造りをした男が入ってきた。

それも、怒りのオーラを撒き散らしながら。

「か……和月(かづき)…っ!!!…」

一宮は、綺麗な顔を思いっ切り引き攣らせている。

周りのヤツらも、俺も一宮と同様に、さぞ頬の筋肉がピクピクしていることだろう。

「何で先に行くんだよっ!?」

………は?
先に行った……?


「……えっ?か……和月……?さき……?」

一宮にも何のことか分からないようだった。

「だからぁぁぁあっ!!!!昨日言ったじゃん!?俺!!

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