《MUMEI》 「──喧嘩?」 「ハイ‥‥‥何かほんとに気まずくて‥」 相談を持ち掛けたのは、佳代子さんでも──戸田先生でもなく。 ──結加さんだった。 忙しい時間の合間を縫って、また那加に会いに来てくれたんだけど‥俺が引き止めてしまったんだ。 「スイマセン、何か相談役にしちゃってますよね、勝手に‥」 「ううん──そんな事ないよ」 結加さんが、ニコッと笑う。 「ずっと日向君に頼ってばっかりいたんだから」 そう呟いて、結加さんが俺を見つめる。 「──那加──日向の事信頼してると思うよ?」 前へ |次へ |
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