《MUMEI》

「そう‥ですかね‥?」

「うん。那加の表情見たら分かる」





確信したみたいに、結加さんは言った。





「だから──心配しなくて大丈夫」





──優しい声。





「行かない? 那加の所」


「ぁ‥‥‥ハイ‥」





結加さんに促されて、歩き出す。





でも‥内心凄く不安だった。





『ここからはあたしの陣地だから』





まだ‥境界線引かれたままなんだろうか。





【307】





‥来てしまった‥。





「‥あの‥結加さん、俺‥やっぱり‥」

「恐い?」

「‥ハイ‥‥‥」

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