《MUMEI》
予想通りな朝
翌朝。


(…予想はしてたけど…)


学校の駐輪場で仁王立ちしている拓磨を


その、般若のような顔を見た時


俺は





帰りたくなった。


(まぁ、後ろめたい事は無いし、…大丈夫、だよな?)


俺と志貴は、友達なのだから。


未だに俺の小指には赤いリボンが結ばれていたが


(それでも…わかってもらわないとな)


俺と志貴の


男女の友情を。


深く深呼吸して、決意を固めた俺は、自転車を押しながら、拓磨の元へ向かって…


「祐也、おはよう!

あ、まだリボンしてくれてるんだ!

私もなの、ほら!」





拓磨の怒りが増した。


「おはよう…

志貴」


とりあえず、俺は


後ろから抱きついてきた志貴に、挨拶した。


「相変わらず、仲良いな」

「ありがとう! 拓磨もいたのね、おはよ」


(あぁ、ヤバい…)


志貴が挨拶しても、拓磨は笑っていなかった。


「祐也クン。二人っきりで、ゆっくり話をしようか?

ごめんね、志貴さん。またね」


俺の肩を掴む拓磨は、かなりひきつった笑顔を志貴に向けたが、志貴は何も言わずに頷いていた。

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