《MUMEI》
逃亡者・厳
結局俺達三人は、午後から授業に出る事にした。


その日の昼食は、志貴が購買で買ってきたパンと牛乳になった。


「俺と志貴って結構噂になってたりするのか?」

「残念だけど、あんまりなって無いわね。

それより、皆の関心は別にあるし」

「…え?」


俺が首を傾げていると


ガラッ!


ピシャッ!


「ハァ、ハァ… あれ? 祐也に、志貴と…

ドンマイ?」

「誰がドンマイだ!」

「どうしたんだ? 厳」


俺は叫ぶ拓磨を無視して、突然保健室に入ってきた厳に質問した。


「あ〜…、ちょっと。追われてて」


言いながら、厳はドアの鍵をかけた。


確かに、少し遅れて外から厳を捜す足音や話し声が聞こえた。


「今、優柔不断を責められてる真っ最中なのよね」


志貴の言葉に厳はうつ向いたが


「二股かけるからだ」

「かけてないし!」


続く拓磨の言葉は、必死で否定していた。


「…ちゃんと説明してくれ」


事情が全くわかっていない俺は、再び厳に質問した。


(どうせ、石川と松本絡みだろうけど)


俺の予想は


正しかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫