《MUMEI》

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小さかった頃のことはあまり覚えていないが、母はいつも機嫌が悪かったような気がする。



そしてわたしが6歳になる年に、母は、今の父と結婚をした。お互いに再婚だった。



まだ若かった母に連れられて、初めて父の家を訪れたとき、紹介されたのが、父の連れ子でわたしの1つ年上の男の子−−尚だった。

家族が増えたことを、幼いわたしは素直に喜んだ。
父はすてきな心の持ち主で、血の繋がりのないわたしを、ほんとうの娘にするように、とても優しく、時には厳しく、接してくれた。母も父と一緒に暮らしはじめてからは、表情が穏やかになったような感じがした。


そして。

兄になった尚は、いじわるだった。


おやつを横取りされたり、髪の毛を引っ張られたり。ちょうど、やんちゃな時期だった尚にされた嫌がらせなら、数え切れないほどあった。泣き寝入りするほど、おとなしくなかったわたしも、尚に散々やり返した。


ケンカしながらも、わたし達は、いつの間にかほんとうの『キョウダイ』のように、すくすくと成長していった。


このまま緩やかに、時が流れていくのだと、思った。



8年まえの、《あの日》がやって来るまでは−−−。





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