《MUMEI》

「ほらっ、このコ脚怪我してるっ」

「怪我‥?」





よくよく見てみると、確かに‥かすり傷ではあるけど、怪我をしている。





「どうしよ‥」





不安そうな那加。





「日向っ、何とかしなきゃ」

「何とかって‥、ぁ」





ふと思い付いて、ポケットからハンカチを取り出す。





それを、黒猫の脚に結んでやった。





「これでたぶん大丈夫だと思うけど──」

「ちゃんと家に帰れるかな」

「ぁぁ──、?」





何だかこの黒猫‥やけに那加に懐いているような‥。

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