《MUMEI》 本当だ──と思ったら。 スルッと俺の腕から抜け出して、黒猫は那加の足元に擦り寄った。 やっぱり‥俺は懐かれにくいみたいだ。 そんな訳で──暫くの間、俺は那加が黒猫と遊ぶのを見つめていた。 「ぁ‥那加、そろそろ戻らないと」 「え〜?」 まだ遊んでいたいらしい。 けど、人影を見つけたらしくて慌てて俺の後ろに隠れた。 「‥‥‥もう行った‥?」 「ぁぁ」 答えたら、那加は大きく溜め息をついた。 「ビックリしたぁ‥」 さっきので懲りたのか、那加は黒猫を降ろした。 前へ |次へ |
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