《MUMEI》

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「君達は、なかなか肝が座っている」




守校長室。


今、三人は

開いた鷹の左翼を模したテーブルに向かい合わせて座り、

話をしている。






「図書室に忍び込むなんて…破れば厳罰処分なのは、しっていたのか?」

守校長が微笑む



「内容は、警備教員に聞くまで…知りませんでした。それより、なんでフルア様から直接お話が…?」

ジンが言葉を繋ぐ



守校長はジンには答えず

微笑んだまま、指を一本
立てた。



「君達に鍵を渡す前に、問わねばならないことがある」


ジンとリツは真っ直ぐ
守校長のゴーグルを隔てた瞳を見つめた

「お前たちは…なんだ?」


守校長の指がジンを指す。

ジンは瞬きした。そして、答える


「ジン・W・Ruhiel。それ以外の何でもありません。」

リツが側で頷く




守校長も頷き


「それが重要なのだ…忘れるな。」
立ち上がって後ろにある窓を開けて、二人を手招いた。
そしてジンに

銀に輝くひとつの美しい羽を渡した

「その羽が、彼の処へ導いてくれるだろう」


ジンは窓の外を見た

そこから下は漆黒の闇


空を見上げると未だに

朱黒の涙を流し続けていた


「…頼んだぞ…」守校長の声は聞こえたのか定かではない

リツは振り返って
守校長に何かを問おうと口を開いた

「このあ…」

「…フ・スパ」
「「ぅわァッ!!」」

それを遮った守校長の言葉とともに

凄まじい力で二人は



窓から
外へ、押し出された

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