《MUMEI》 1.1. 真理「丈、起きて!遅刻しちゃうわよ。」 丈「もう朝か…早いなぁ。」 真理は可愛くもあり美人でもある俺の自慢の妻だ。 手料理も最高に美味いし掃除も洗濯も完璧にこなす。 しかも正社員で9時〜5時まで仕事したうえに週末の土日の、どちらかはバイトまでしている。 俺は「そこまで仕事しなくていいよ」って言っているのだが、真理は「ウチに入り込むと老けこんじゃうから」と言って真面目に働いてくれている。 真理と結婚して、もうすぐ10年になるが、今だに新婚夫婦のように毎日ラブラブだ。 会社や近所の人達からは「おしどり夫婦」と言われている。 俺達が今、住んでいるマンションは3年前に10年ローンで頑張って購入した。 駅から多少離れているのが難点ではあるが、静かで良い所だ。 部屋は2LDKで8畳の和室と10畳の洋室と15畳のリビングと、キッチンがある。 トイレは3畳ぐらいのスペースに少し大きめな洗面台がセットされている。 俺のこだわりで風呂は広い。子供が出来ても3人で一緒に入るのが夢だからだ。 近くには森林公園が有り、のんびり出来るがスーパーやコンビニが少し離れた所に有るから買い物には不便だ。 森林公園の反対側には国道が有りバスが10分から15分の間隔で通っていて、そのバスを利用して家から1番近い駅から電車で20分ほどで会社に行けるので通勤に支障はない。 真理は俺より3つ年下で大学の時に知り合った。 俺は1年浪人して大学に入っているから真理は学年で言うと2つ下になる。 真理は大学のミスキャンパスにも選ばれたほどの容姿で男女問わずモテモテだった。 今でも、その美しい美貌は衰える事なく美人で可愛い。 だから、どこでどうやって調べて来るのか分からないが電話や勧誘で「モデルをしませんか?」などと来られる事もある。だが真理は、その都度、怒った口調で断っている。 たまに俺の所にまで来て「奥さんを説得して下さい」などと来るやつもいるが俺も、その場で強い口調で断っている。 なぜなら一度だけ真理を説得しようとした事があるのだが、その時は物凄い剣幕で怒られた… そんな事は俺も二度とゴメンなので、そう言った話しはスグに断るようにしている。 真理いわく小さい頃からチヤホヤされ過ぎてイライラするのだそうだ。 美人で可愛いのだが気難しい一面もある。 でも普段は本当に可愛い性格だ。 大学の時、俺は真理が入学してきた、その日から一目惚れしていた。だが、いつも一緒にいた親友も真理に惚れていて俺は気持ちを押し殺していた。 大学では何十人もが真理に告白しては次々とフラれていた。 そんな中、なぜだか分からないが真理は俺に告白して来た! 俺は物凄くビックリだった。 モテモテの真理から普通の俺なんかになんだから本当に嬉しかった!が…親友の事を考えて心と裏腹に断ってしまった。 しかし、それが真理に逆に火を点けてしまった。 真理は所構わずアタックして来るようになった。 大学全体に真理が俺に惚れているって言う事が知れ渡っていった。 それで、いつの間にか真理と俺が付き合っている事になっていった。 真理も彼女のように俺に接して来た。 俺も悪い気がする訳もなく断る理由などもないかと思い真理を恋人として受け入れていた。 ただ親友とは、それっきりになってしまった。 それから真理が大学を卒業して同時に結婚して、もう10年だ。 いつも通りに真理の作った美味しい朝食を食べ出勤する支度をして玄関で日課の口づけを交わして会社へ向かうため外に出た。 俺は、いつものバス停に向かった。 しかし…バス停を通り過ぎ電話ボックスに入った。 つづく 前へ |次へ |
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