《MUMEI》 惨劇の日これは、誰の血だ? 俺の血ではない。俺は怪我をしていない。 では誰の? 俺は一体、誰の血に塗れている? 目の前でバラバラになっているのは、誰だ? さっきまで俺の目の前にいたのは父さんと母さんだった筈だ。二人はどこに行った? 俺を置いて、どこへ? 「地獄だよ。お前ら魔人どもは一人残らず地獄に行くんだ。」 ……………………嘘だ。父さんと母さんが死ぬ筈ない。強くて、優しくて、格好良い、最高の親なんだぞ? それなのに、死んだ? 有り得ない。有り得る訳ない! 「安心しな。坊主も同じ所に送ってやらぁ。寂しくないぜ?」 血でべっとりの剣。それで父さんたちを殺したのか? ……認めない。そんなものの存在、認められない! 「あ? なんだその面は。人間様に逆らおうって…………え?」 壊す! 壊してやる! 壊して無かったことにするんだ! そうすれば父さんたちも……! 「う、嘘だろ!? こ、鋼鉄製の剣だぞ!? 素手でぶっ壊した!?」 どうしてだ。剣は壊したのに。……そうか。剣なんて所詮は道具。その道具を使う奴をどうにかしないと意味無いのか。なら、 「ひ、ぎゃあアァあァ!! 腕が、俺の腕がァアあああぁアア!!」 コイツを壊してやる。 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!! ゆ、ゆるじで! もう゛じない! じないがらぁ! ゆる」 どうして、どうしてだ! バラバラにしたし頭まで潰した! そこまでしたのにどうして父さんたちは戻ってこない! まだ足りないのか!? 完全に消し飛ばさないとダメなのか!? だったらそうする!! 何だってする!! だから!! だから…………帰って来てよ…………父さん、母さん…………! 「うああぁぁぁあぁあぁぁああぁぁ……!!」 次へ |
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