《MUMEI》
3年前
     =3年前=


3年前のクリスマスの日、塾の帰りに俺・智・椋の3人はある公園で、高校生くらいの1人の女と4人の男を見かけた。男が女を囲って、言い争いをしているようだった。

少し立ち止まって見ていると女は俺達に気付き、正面の男を突き飛ばして走り寄ってきたのである。





「お願い、助けて!!」





俺の服を掴み、必死に懇願してくる女。俺達は、突然の事にただ戸惑っていた。





「ねぇ、お願い!助けてほしいの!!」





目に涙を浮かべて懇願する彼女を目の前に、どうすればいいかとオロオロしていると、さっきの男達が近付いてきた。





「そんな餓鬼に頼んだって、助けてくれるわけねぇだろ」



そう言って、一人の男が彼女を引っ張って行く。




「おら!早く来いよ!!」

「嫌っ!放してよ!!」




女の悲鳴にも近い声にハッとして、俺は震えながらも男の腕を掴んだ。




「や…やめてやれよ!その人嫌がってんじゃん!!」

「そうだよ!放してやれよ!!」





彼女を助けたい一心で抗議したけど、中学生の俺達の言うことを高校生の彼らが聞くはずもなかった。

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