《MUMEI》 あれから──散歩に行く度に、俺達はあの黒猫に会うようになった。 ──毎朝。 会わない時はない。 ──不思議だ。 俺達が会いに行くというより、黒猫が俺達を待っている感じだ。 ──もう1つ不思議なのは。 那加が、本当に良く笑うようになった事。 佳代子さんが言っていたいい事、って──これなのかも知れない。 ──きっと、そうだ。 間違ない。 本当に、黒猫が呼んでくれたんだ。 ──俺達に、幸せを。 前へ |次へ |
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