《MUMEI》

「たまには遅れる事もあるって──」

「‥風邪引いたのかな‥」

「いやっ、そうじゃなくて──」

「じゃあ何で?」

「‥たぶん‥」

「分かんないんでしょ?」

「ハイ‥」





分かりません‥。





「──あっ!」





いきなり、那加が叫んだ。





「いたっ──日向の後ろっ」

「俺の‥?」





いないぞ‥?





「‥‥‥? あれ、那加いつの間に‥」





知らない内に、那加が黒猫を抱き抱えていた。





「‥何で‥?」

「日向が後ろ向いたら前に回り込んで来たから」

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