《MUMEI》

「どういうわけ?
理由もなく僕の指示を無視する奴をスタメンにはおいとけないよ。」


「…」


「聞いてんの?」


「…」


「はぁ…」


(めんどくさいな…


何が気に入らなくてふてくされてんだろ…


しょうがない…


次の試合スタメン落ちかな…)


「ふぅ…
あのな」


「俺は…」


「!」


「俺は…」


「…」









「俺はエースだから…」








「!」








「エースだから…


最後まで全力でいきたいんす…


だから…


お願いします。


体力温存なんて理由で交代させないでください。


最後まで走るんで。


お願いします…」

















「…言うね。


そういうの嫌いじゃないよ。


…わかった。


体力温存って理由でお前は交代させない。


その代わり、


少しでも気の抜けたプレーをしたら、


その時は下げる。


これを守ること。」


「…はい。
ありがと」


「僕は、」


「え…?」


「お前みたいに熱いのは嫌いじゃない。


でも、


そんだけのこと言って口だけなんて許さないよ。


僕とは年が近いからそんな実感はないかもしんないけど、


お前は今、


コーチに逆らってんだ。


その意味くらいわかってるよね?」










「…はい。」

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