《MUMEI》
屋上にて。
  
あいつらが知ってるのか知らねえのかは分からねえけど、聞いた話によるとはるかとかなたの双子ファンという奴らが居るらしい。

あるだろうな…とは思ってたけど、それに派閥ってものがあるらしい。

  ”元気で可愛いかなた派と、清楚で美人なはるか派”

元気で可愛らしくて素直なかなたってのは分かるんだが…。

はるかが清楚?

美人なのは分かるんだが、小賢しくて生意気で無愛想で可愛いトコなんかひとつも見当たらねぇな…。

ちょっと前なんか、バレンタインでチョコ渡してきた女の子を泣かせたみたいだって言う事で、学園中の噂になっていたな。


「違うもん!あの時のはね…はるちゃんは恥ずかしかったから相手の女の子に冷たくしちゃったんだよ」
「なッ!ちげぇよっ///…お前に渡すやつだと思ったんだよ…お前モテるからさ…」
「え〜…俺のは友チョコって言うかさ…はるちゃんの方が女の子にはモテるよ〜」
「そんな事ない!お前は優しいし、明るいし、可愛いし…」
「はるちゃんは頭いいし、優秀だし、髪の毛サラサラで王子様ってカンジだし…」

今も、俺の目の前でこの双子はお互いを誉め合いながら仲良くイチャついていた。

何やってんだか…と呆れながらも、見ていて嫌なカンジはしなかった。

むしろ、目の前で動く絵画を見ているようで、俺は自然とその二人の様子にただ感動してしまっていた。



「だからその状況に居合わせられるのが羨ましいんだよ!」
「そんな事言われてもな…」

クラスでそんなに仲良くも無いけどなんとなく居る友人とも取れないような関係のソイツは、俺の目の前に黙ってデジカメを置いてきた。

「……何だよ」

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