《MUMEI》
帰宅
俺と、盾と、桜。
それから何故か一緒に暮らす事になっていた帝と一緒に、俺たちは俺の、自宅である榊(さかき)家の玄関に到着していた。

帰り道、俺が知ることが出来た帝の事情(?)は、殆んどなかった。

挙げるとすれば、昨夜はホテルに宿泊したということ、こっちに戻ってきたのはとある事情のため。
そのとある事情とやらは教えてくれなかったけど。
それから、俺と同じ高校の入試をこの受けて余裕で合格したが入学式は欠席。
明後日から通い始めるということだけ。

にしても、だ。
いつ受けたんだよ?
俺会ってねぇよ?
普通さ、受ける事くらい言うもんじゃねぇの?

不満は募るばかりだが、目の前には自宅の玄関。

立ち往生しているわけにもいかず、ドアを開いて中に入る。

桜は一応室内犬なので、足の裏を雑巾で拭いてから一緒に入った。

「あら、剣に盾、それに帝君も。お帰りなさい。やっぱりあそこにいたでしょう?剣。」

俺は、一言母にもの申そうと意気込んでいたのに、俺は母である、愛深(あいみ)のその白々しさに言葉を発する気すら失せてしまった。

「さぁさ、入って寛いでね。帝君の部屋も用意するし。暫くは剣と一緒に使ってちょうだい。」




………ピタリ。

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