《MUMEI》 選んだ理由「厳が選んだのは、石川くるみちゃん。 それでいいのね?」 「うん。 思い出したから、ちゃんと」 厳の言葉に、全員 放心状態の松本以外が、首を傾げた。 「初めて二人に会った時の事。 二人共、はっきり言って、俺のタイプじゃなかったし、恋愛感情なんてさっぱり無かったけど… でも、何か気付いたら気になって声をかけてた。 それで くるみには、名前訊いて、自分も名乗った。 …俺、人の名前、なかなか覚えないのに くるみは、すぐに覚えたんだ。 今思うと、その頃からきっとくるみは、俺の中で特別だったと思う」 (そうか) 厳の言葉を聞いて、俺は納得した。 厳は、松本に初めて会った時、松本に名乗らず、名前も訊かなかった。 ナンパだったからと言えばそれまでだが その後 厳は松本と同級生になっても、しばらく松本の顔と名前を覚えていなかった。 その事実は 石川との違いは 松本をますます落ち込ませていた。 その瞳からは 今にも涙が溢れ落ちそうだった。 「ごめん、美鈴」 厳がそう言った瞬間、松本の涙が溢れた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |