《MUMEI》
松本への償い
全員納得したところで、果穂さんは、厳に石川を送らせた。


(で、何で俺まで…)


果穂さんと大志さんが用があるのは松本だけだった。


しかし


『お願いします!一緒に残って下さい』


そう、松本に懇願されてしまったのだ。


(まぁ、松本の気持ちすごくわかるけどさ)


慣れてきた俺ですら、未だにこの二人と同じ空間は緊張する事があった。


「ごめんなさいね、松本美鈴さん」

「いえ!とんでもないです!」


優しく果穂さんに話しかけられても、松本の緊張はとけなかった。


「こんな事に巻き込んで、悪かったね」

「いえ!ただ、私が厳君好きだった…だけ、なんで…」


大志さんの言葉に何とか返事をしながらも、松本はうつ向くばかりだった。


「それでね。お詫びをさせてほしいんだけど」

「え? もう頂きましたよ?」


そう言って、松本は化粧ポーチを見せた。


「そんなの、ついでよ」


そして、果穂さんは


『社会に出るまでの援助、するからね』


笑顔でそう言った。


「いいいいいです!悪いです!」

「大丈夫、ちゃんと御両親にも今大志が話してるから」

「ええ!?」


「今終わったから」

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