《MUMEI》 厳と石川の気遣い「どどどうしましょう、田中先輩…」 結局、松本が反対しても 一方的に援助の話はまとまってしまった。 「…受け取っておけば? 傷付けられたのは事実だし」 「そんな、ただの片想いなのに」 帰りのタクシーの中で、松本はひたすら援助の事を考えていた。 (もしかして、これも果穂さんの狙いか?) 松本は、さっきほど厳の事で落ち込んでいなかった。 「明日から大丈夫か?」 それでも気になっていた俺は、別れ際、松本に確認してみた。 多分、きっと、明日から厳と石川は正式に付き合う。 何となくだが… (絶対、あの二人もバカップルになる) そんな確信があった。 「実はそれなんですけど…」 「?」 「学校でイチャイチャするのは、夏休み明けからにするみたいです」 「何でだ?」 (確かに、あと少しで夏休みだけど) 「私が、見ても辛くならにいように、すぐには付き合わないって 勝手に決めたみたいですよ」 「厳なりの、償いか」 「後は、くるみちゃんの優しさです」 『私は別にいいんですけど』 そう言いながらも、松本はどこかホッとしたような口調だった。 前へ |次へ |
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