《MUMEI》

なのに、いちいち俺は驚いてばかりだ。





それだけじゃなくて‥何ていうか‥ちょっと寂しい。





嬉しい事‥なはずなのにな。





「いいですね〜」

「?」

「羨ましいです」

「羨ましい‥?」

「幼馴染みで恋人同士なんて──凄く素敵じゃないですか──」





何故かうっとりしている鳥居さん。





「ぁ‥すいません、何か‥」

「ぃゃ、全然──」





俺達の関係が羨ましいなんて、少し意外だった。





特別って訳でも何でもない、ただ、お互いに好きだって──それだけの事だから。

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