《MUMEI》
花雫
ひらり舞い遊ぶ その花弁に
あなたの影を微かに映し出して
不意に悲しみに浸る

居なくなると時、あなたは何も
私に言ってはくれなかった
けれど私は傍に居られたから
それだけでよかった

あなたが逝った日はとても暑くて
向日葵の花が綺麗に咲き乱れる
その傍で泣くしかしない私に花は
何も言わずに寄り添った

ふわり触れてくるその手の平は
ずっと冷たく私を包み
そして消えていった

今だけは泣く事を許して下さいと
一人きり 呟いて
泣きだす私に降る花弁は
ただ静かに頬を拭く

泣いてもいいよ、さぁ泣きなさい
流れる涙はきっと
キレイな花を咲かすから

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